気色悪かった
Ben Sidran "I Lead a Life"
ベン・シドランの初期の作品だが、初めて聴いた時は、気色悪くてなんともなじめなかった。
若い頃のシドランの歌声がどうも生理的にダメで、多分、3回も聴かないうちに、棚にもしまわずに放り投げてしまっていた。
それから多分3年くらいたったろうか。
たまたま聴きたい音楽がなかなか決まらなかった時にたまたま目に入って、プレイヤに乗せてみたのだが、やっぱりヴォーカルはキモいのであった(笑)。
なんというか、空気抜けてるみたいな感じがどうにもいけない。
ルー・リードっぽくもあるのだが、 ルーには独特のエグ味があって、それが好きなのだ。
エグくもないし、脂っこくもないし、どう食ったらいいのかよくわからないんですよね。
そこがキショい。
前に聴いた時よりも拒否感は無くなったが、個人的には、シドランのヴォーカルは、現在の方がずっといいと思う。
全編ボブ・ディランのカヴァーを行ったアルバムを数年前出していたけども、このアルバムでのシドランのヴォーカルは最高であった。
まあ、ヴァーリストとしては、大器晩成型なのだと思います。
と、散々な事を書いてますけども、とはいえ、このアルバム、バックがすごいのでございますよ。
特にフィル・アプチャーチュの、クールなのにファンキーなベイス(曲によってはギターやパカシュンでも参加)は、このアルバムのクオリティをバツグンにあげてますね。
ドラムスは、JBズの一員である、クライド・スタブルフィールドではないですか!
決して派手ではないですが、やっぱりいいですね。
それ以外は不勉強でよくわかりませんが、どれもこれも素晴らしいです。
この70年代のアメリカのミュージシャンというのは、多分、世界最高水準だったのですね。
フィルとクライドは特級ですが、それほど一般的な知名度がなくても、本作で演奏しているミュージシャンは、どれもこれも一級品でありまして、レコード製作の全盛期はやっぱりこの時代だなあ。と、痛感しますね。
ベンのヴォーカルはまだまだだけども、キーボードはなかなかの熱演で、これまたよし。
この頃のベンは、ピアニスト/ソングライターとしての才能が開花していて、ヴォーカルの味わいは、もう少し年数が必要だったというべきでしょう。
ということで、1つのレビューで2枚のアルバムを推薦するという効率の良いことをやってみました。