mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

怪物だった。

ブラームス交響曲第3番』

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮、ベルリン・フィル

 

 

夜の9時を過ぎて、注文して忘れていたCDが届いた。


録音は1944年の9月9日。
 
すでに幾つか出回っているが、今回は、アメリカのミソス。という、恐らくはとんでもない好事家がほとんどひとりでやっているレーベルが作っているCDR版だ。
 
多分、LPから直接音を起こして、そのまんまCD-R に焼いているらしく、パチパチは全くカットしてませんね。
 
しかし、ドイツ第三帝国崩壊寸前のベルリンでのライヴとは思えないほど、ホールの残響が聴こえてくる。
 
クナッパーツブッシュはとてもレパートリーが狭い指揮者ですが、そんな中でなぜかブラームス3番が得意で、たくさん録音が残っています。
 
およそブラームスとは思えない、巨怪な演奏なのですが、その溢れ出すようなド厚い低音の唸りと、金管の雄叫び、作曲家の速度指定など完全に無視した両端楽章の信じられないほどゆっくりしたテンポで演奏される様が克明に聴こえてきて、えらく感動したです。
 
音楽の各ジャンルには、好事家が必ずおりますが、クラシックの好事家は、やっぱりハンパじゃないすね(笑)。
 
これ聴くと、やっぱ、アナログじゃないと、オーケストラの音なんてとても捉えきれてない事がよくわかりますよ。
 
多分、その事を分からせる為に、CDRを作り続けているのでしょうね、このおじさん(絶対、中年の男性以外、こんな事は絶対にやらないです・笑)。
 
しかし、クナにとっては、ブラームスなど、遊び道具に過ぎないのでしょうね。
 
完全に下に見てます。
 
尊崇するワーグナーの方法論をブラームスにぶっこんでるわけですね。
 
現在の感覚だと、ほとんどリミックスというか(笑)。
 
でも、クラシックの人なので、ちゃんとオーケストラに演奏させてますけども、ブラームスを素材に遊んでるとしか思えないですね。
 
しかし、できたものは、凶々しいまでの芸術なのが、彼の桁外れなところなのですが(笑)。
 
とにかくですね、これ聴いたら、クラシック観が確実に狂ってしまって、もう戻れなくなる可能性すらある、世紀の大名演である事は確かです。
 
録音された時期もまた、とんでもないですしね。
 
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