凶暴!
ジョン・レノン『Shaved Fish』
レノンはやたらとベスト盤が量産されているが(アルバムに結構収録されてない代表曲が多いからなんですが)、これ彼が唯一選曲したベスト盤。
ちょうど、主夫として事実上引退したしてしまうというタイミングで発表されたのですが、しかし、なんですか、この凶暴さは(笑)。
こんなエグい曲ばかりシングルで発表していたんですね。
レノンのアルバムは、あれっ、と思うクオリティの曲が結構あるので、アルバム単位で聴きたくならないですけども、この乱暴で凶暴な(特にA面)曲が凝縮したベスト盤は、一切のムダなく、彼の言いたいことが入っているので、コレだけを買う。という選択肢はアリではないか。
「コールド・ターキー」のエゲツないほど低いベイスの上にノイズギターが乗っかり、レノンは呻き声を上げる。
ほとんど、80年代初頭のパンク〜ニューウェーブであるが、レノンが射殺されることなく生きていたら、このムーヴメントをどう見たろうか。
更に「マザー」、「女は世界の奴隷か!」が続くという、かなりキツめの展開は、およそ、ポップスターの有り様ではないですね(笑)。
曲によって音作りがかなり違うのだが、レノンは御構い無しに特に修正もせずに並べている。
なので、CDだと突然フィル・スペクターのサウンドになったり、ほとんどいじってないような生な音になったりと、アルバムとしての一貫性は乏しくなるけども、それがむしろ、生々しさを醸し出してして、私には好ましい。
この辺はマニアックに研究している方が世界中にいるでしょうから、そちらにお任せしまして、私はこのその瞬間瞬間を掴み取って音にしていく、生まれながらのロックンロール詩人の誠実なまでの生き様をただただ聴くのであります。