バッハの次がコレです(笑)。
The Drifters『Rockin' & Driftin'』
私は基本的にジャズファンなので、このアルバムのデザインが、アトランティックから出ていて、ジャズのジャケットとデザインの基本が同じことに驚きましたね。
こういうのって、意外と気づかないものです。
ドリフターズは、結構リード・ヴォーカルからして変わってしまうので(というか、同名の別グループができてしまったりもしてますね)いつの時代かで、まるで変わってしまうのですけども、本作は、ジョニー・ムーアがリード・ヴォーカルの頃のアルバムです。
ここに収録されている作品は、1955〜57年に収録されてますが、発売されたのは、1958年で、もう、ジョニー・ムーアは脱退してます。
当時の黒人音楽は、ジャズを除くと、シングル中心なので(現在も基本はそうです)、ある程度ヒット曲が集まって初めてアルバムになるため、こういうことが起きます。
前置きが長くなりましたが、アトランティックというレーベルは、バックバンドか優秀ですね。
それがアルバムのクオリティをシッカリ保証してます。
私が本作でとりわけ好きな曲は、「Fools Fall in Love」と「Adorable」です。
前者はエルヴィスとのコンビでも有名な作詞作曲チーム、「リーバー&ストーラー」の作曲で、ものすごくポップな曲で、こういうのを書かせたら、天下一品ですね。
ジョニー・ムーアの伸びやかなハイトーン・ヴォイスが素晴らしく、間奏のギターソロがいいですねえ。
この曲は、エルヴィス・プレスリー以下、カヴァーがとにかく多いです。
バリトン・サックスがとるバッキングが実にカッコいい。
ここまで読んでいただいて、薄々気づいている方もいると思いますが、当時のアメリカのポップスというのは、白人、黒人問わず、曲は共有財産のようなもので、それをいろんな人たちがカヴァーして、ものすごくヒットしたり、さっぱり売れなかったりするものであり、歌い手と楽器演奏も分離していて、完全分業が当たり前なんですね(チャート・ミュージックでは、この分業制は維持されてますよね。日本の歌謡曲もこのシステムで製作してます)。
飛び抜けた天才が出現してシーンを変えるよりも、ポップス・シーンが大切なんですね。
そういうことをものすごく精緻に研究していたのが、大瀧詠一さんです。
コレを覆したのが、あの英国からやってきたマッシュルーム・カットの四人組なのですが、それはまた別の機会に。
そんな大英帝国の侵略前の、幸せな時代の音楽をご堪能ください。