ソウルとはまずオーティスを聴くことなのだ。
Otis Redding『Otis Blue』
激動の60年代を嵐のように駆け抜けていった、オーティス・レディングのアルバムとしては、本作が最高傑作と言ってよいでしょうね。
彼の代表曲「Respect」「Shake」「I've been Loving You Too Long」が収録され、「My Girl」「Satisfaction」、そして、「Changes Gonna Come」というカヴァーも大変素晴らしく、要するに、捨て曲が全くないアルバムですね。
サム・クックのレパートリーが3曲も入っていて、いかにオーティスが彼の事を好きなのかがよくわかります。
オーティスの歌唱は、コレに匹敵するのは、アリーサ・フランクリンくらいなモノでしょうね。
「Respect」や「Shake」のようなシャウトしまくるパワフルな曲も、サム・クックの名唱で知られる「Changes Gonna Come」のようなスローテンポでじっくり上り詰める曲を歌わせてもとにかく圧倒的で、他の追随を許しません。
また、彼の所属するスタックスというレーベルには、「Booker T & The MGs」という固定のバックバンドがいまして、コレがまたとびきり優秀!
メンバーは完全に固定ではないのですが、リーダーのブカT(オルガン)、スティーヴ・クロッパー(ギター)、ドナルド・ダック・ダン(ベイス)、アル・ジャクスン(ドラムス)はほぼ定位置メンバーです。
ココにホーンセクションが入るのですがコレが結構メンバー変わってます。
あと、アイザック・ヘイズが入る場合もあります(本作は参加してます)。
実際、サウンドの核は固定メンバーでできてます。
従来、ポピュラーミュージックでのバックバンドというのは、完全に裏方であって、特にレコードなどにも昔はクレジットなどされないのですが、MGズも、60ねんどいにはクレジットはされてませんが、アトランテック、スタックスから出るレコードのバックバンドの演奏に明らかにハッキリとした個性があるので、わかる人には、当時から存在は知られていました。
サウンドのかなめは、何と言っても、手数が少なく、ものすごくシンプルですが、一打一打がものすごくドシンと来るという、とても独特のスタイルを持つアル・ジャクスンのドラムスでしょう。
コレにピタッと寄り添うドナルド・ダック・ダンのベイス。
コレまた痒いところに手が届くような絶妙なギターのスティーヴ・クロッパーが絡むとホントに素晴らしい。
ここに唯一無比のオーティスが歌っているわけですから、名盤にならざるを得ないわけです。
しかも、ブカTとスティーヴ・クロッパーには作曲能力もあり、最早、単なるバックバンドではないわけですね。
オーティスが名演をその余りにも短い生涯に連発できたのも、MGズという強力なサイドが固まっていたからです。
全体にグッと効いたタメ、いなたいシャウトがトコトン堪能できる大名盤。