mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

彼らの怒りは未だに有効である。

Rage Against The Machine『Evil Empire』

 

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ヤバいジャケットですよね、コレ(笑)。


レイジ・アゲンスト・ザ・マシーンの2枚目にして、最高傑作。

まず驚くのは、バンドのサウンドが前作と比べて、作り込みが相当すごくなっているにもかかわらず、むしろ、無駄が削ぎ落とされたような印象を与える事ですね。

音の隙間がものすごく活かされていて、ヴォーカル、ギター、ベイス、ドラムスがそれぞれクッキリ聴こえます。

それこそ、初期のミーターズ並みにクッキリしてますね。

特に変わったのはギターだと思います。

ギターが変わったので、ベイスもドラムスも変わり、よりザックのラップがクッキリとしてきたのではないでしょうか。

トム・モレノは、これまで聴いたことのないような独特の音をギターですが作り出し、まるで、ターンテーブルのスクラッチノイズのようにものすごく即物的にギターを扱っていて、ロックギター的な要素が限りなくなくなっているのがすごいですよね。

ギターリフのアイディアもこれ以上ないくらいにシンプルなのに、これまでの誰にも似てない独特なくなってリフをこれでもかこれでもかと繰り出してくるのに驚いてしまいますね。

もともとヴォーカルはほぼラップですから、フロント2人にメロディの要素が少なくなってくると、ベイスがものすごく際立つわけです。

そんなに独特なリフを弾いているわけではないんですが、ザックとトムが作り出している隙間にヒップホップを思わせるベイスラインを弾くと、これほどカッコ良く聴こえるのかと驚きますね。

ドラムスもこれにともなって、バスドラとスネアがほとんど音の基調になっていて、出ている音はデカいですが、手数は前作よりも減っていますよね。

こうする事でどちらかというと押しまくり気味の楽曲が多かった1枚目と比べて硬軟併せ持つ楽曲になっていったところが彼らの成長を感じます。

その結実が本作が「Without A Face」であると私は思うのですが、どんなものでしょうか。

トム・モレノのギターはほとんどヒップホップのバックトラックのノイズやターンテーブルのスクラッチノイズを担当していて、ティム・ボブのベイスとブラッド・ウィルクのドラムスはまるでバックトラッカーが作り出したループを演じているかのようで、ここにザックの怒りのラップがかぶる快感はとてつもなく、それでいて、ヘヴィメタルのように曲が突然展開するというのは、ものすごいアイディアですよね。

たったの2枚目のアルバムで音楽的にここまで成長してしまったというのは、すごい事ではありますが、だんだん、ライブでの再現が困難になっていき(特にトム・モレノが物理的にエフェクターを切り替えていくのがかなり困難です)、本作からライヴで演奏されるのは、比較的トムのギターリフがロックギターしている曲が多くなってしまうという事が起きてしまっています。

ビートルズからのジレンマではあるのですが、そこにたったの2作で陥ってしまうというところにこのバンドの物凄さを感じます。

この後、またしても長い間をあけて『Battle of Los Angeles』を発表しますが、本作が行き着いたヒップホップ化、ファンク化はかなり諦めてしまって、ハードロック調になってしまい、それから程なく一旦解散してしまうのは、ある意味致し方なかったのではないでしょうか。

 

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 驚きのPVの一場面。。