アリーサ・フランクリン追悼
King Curtis『Live at Fillmore West』
Aretha Franklin『Live at Fillmore West』
キング・カーティスはこのライヴと同じ年の8月に自宅前で殺害されてしまうんです。。
1971年の3月5日から7日に、サンフランシスコの「フィルモア・ウェスト」で行われたライブからベストテイクを選び出した、伝説的なアルバム。
キング・カーティスが前座で、アリーサ・フランクリンが本番という形でライヴは行われたのですが、そのいずれもが桁外れの出来栄えであり、両方聴く事で、初めて当時の興奮を追体験できますね。
2005年にCD4枚組でRhino Handmadeから三日間のライヴの全ての曲を収録した完全版が出ましたが、初めて聴く方は、迷う事なくアルバムから聴く事をオススメします。
というのも、このライヴ盤、曲順がバツグンに素晴らしく、しかも、ベストテイクがキチンと収録されているからなんですね。
キング・カーティスは「Memphis Soul Stew」に始まり、「Soul Serenade」に終わる必然性があるんですね。
というのも、実際のライヴでは、「Memphis Soul Stew」はメンバー紹介のために最後に演奏されていて、実際聴くと、相当違和感があります。
つまり、この曲順で聴いた方が絶対にカッコいい事を、プロデューサーであるアリフ・マーディンは、カーティスとともに確信して作っているんですね。
完全版は、それを知った上でのドキュメントととして聴くと意味があるわけですね。
名盤ライヴと呼ばれるアルバムは、こういう事がチキンと出来ている作品である事がほとんどですので、ワザワザこれを崩したものから聴く必要はありません。
さて。
アリーサはまさに全盛期と言ってよい時期であり、前座(と呼ぶには余りにも豪華すぎるメンバーですけども)のキング・カーティスのバンドがそのまんまアリーサのバックバンドとして演奏するという、ホットさがそのまんま持続したままオーティス・レディング「Respect」になだれ込んで行く様子は、もう興奮せざるを得ないですね。
ビリー・プレストン、コーネル・デュプリー、トルーマン・トーマス、ジェリー・ジェモット、バーナード・パーディ、パンチョ・モラーレスを中心とした、当時求めうる最高峰の黒人音楽のリズムセクションにキング・カーティスを中心としたホーン・セクションがつき、これによる前座が行われ、そこにアリーサと3人の女性コーラスが加わっての本編というのは破格の凄さであり、それだけアリーサがレーベルのアトランティックから期待されていたということですね。
最後には御大レイ・チャールズまでゲスト参加するという鼻血モノ。
普通、前座の演奏がアルバムとして発売されるという事自体、聞いたことがありませんし、しかも名盤というのは、前代未聞です。
演奏内容にはほとんど立ち入りませんが、それは各人が実際に聴いてお確かめ下さい。
黒人音楽史上に輝く金字塔です。
RIP Aretha...