未だに攻め続けるという事実に驚いてしまいます。
Paul Simon『In The Blue Light』
最近のポール・サイモン。
Simon & Garfunkelのファンでもありませんし、ソロとなった2人にもさして興味はないのですが(流石に、『Graceland』は聴きましたが、そんなにいいとは思わなかったです)、このアルバムはいいですよ。
ヴァン・モリソンが、自分のそんなに有名ではない曲を、それぞれゲストを呼んでデュエットで再演するというアルバムを数年前出しましたが、本作もあまり有名ではない曲のアレンジをかなり変え、歌詞も変えたりして(なんと、Jay-Zが出てきますよ)、再演してるんです。
先ほど書いたように、私はファンではないので、どれが有名曲なのか知られてない曲なのかはわからないので、すべて新曲として聴いている。という点はご容赦いただきたいんですが、超大ヒット作『Graceland』くらいしかマトモに聴いてない程度で恐縮ですが、これまでの彼の作風からはあんまり想像できないようなアレンジの連発なのが、まことに驚きで、もうライヴ活動はやめる。と最近、ラストツアーをやっているくらいの年齢なのですけども、一見、再演集という後ろ向きな企画に見えて、実は、大ベテランとは思えない攻めの姿勢を感じますね。
参加ミュージシャンに、Bill Frisell 、John Patitucci、Jack DeJohnette、Steve Dadd、Wynton Marsalis、Joe Lovanoという、ジャズ畑の人々が多く起用されていて(わたしが興味持ったのは、このメンツからです)、コレがズバリ大当たりなのですね。
フリゼールがとりわけサウンドに貢献していて(まあ、そういうミュージシャンですし、だから起用されているんですが)、全く衰えを見せないポール・サイモンのヴォーカルとよく合うんですよ。
フリゼールが活躍しているということは、全体がアメリカーナしているわけですが、リズムがよく聴くとかなりアグレッシブだったりするところが油断なりません。
もしかすると、最近のジャズをPaul Simonはよく聴いていて、「よし、こういうサウンドを取り入れてやってみよう!」と思ったのかもしれません。
それにしても、まだ新しい事に挑戦して、しかも、素晴らしい作品を作ってしまうというところは、本当に脱帽です。
本年聴いたアルバムでも、本作はベスト3に入れてもよいと思いました。