mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

ファンクミュージックの挽歌。

WAR『Why Can’t We be Friends』

 

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当時のウォーのメンバー。

 


1970年代はファンクミュージックの黄金期であり、前回紹介したEWFもファンクの要素が色濃い大編成バンドでしたが、ウォーもこの時代を代表するバンドで、アースほどではないにしても大編成のファンクバンドでした。


もともとは、もともとアニマルズのヴォーカルであったエリック・バードンを中心に結成されたのですが、バードンから離脱し、特定のヴォーカルを立てないスタイルを確立します。


このバンドの特徴は、ファンクバンドでありながら、ラテン音楽の要素が色濃く、メンバーのほとんどがパカシュン奏者でもあることと、ハーモニカ奏者のオスカー・リーがいたことです。


オスカー・リーは、デンマークコペンハーゲン出身なのですが、そのファンキーでソウルフルな演奏だけ聴くと、とてもデンマーク人とは思えないですね。

 

本作でのリーのハーモニカは、ファンキーな側面は影を潜め、非常にメロウですね。


コレはアルバム全体にも言えるのですが、名作『世界はゲットーだ』のようなファンキーさよりも、ビターさ、重苦しさが強調されていて、長い長いヴェトナム戦争がようやく講和条約によって集結し、アメリカは膨大な人員と軍事費を投入しつつも、北ヴェトナムによる国家統一を阻むことができなかった、なんとも言えない虚しさが漂う頃をそのま反映したような作品です。


しかし、その重苦しさを救っているのが、ウォーが持っているラテン音楽の要素でしょうね。


また、スローナンバーにおけるリー・オスカーのしみじみとした味わいをもつハーモニカの素晴らしさでしょう。


タイトル曲「どうして私たちは友だちになれないのか?」は、分断の深まる現在こそ、ますます重要性が増しているのではないでしょうか。


「ロー・ライダー」はそんな中でホッとひと息つける名曲です。

 

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