売り上げと内容が一致していた時代の傑作
Carly Simon『No Secret』
1970年台のアメリカSSWのアルバムの特徴は、とにかく参加ミュージシャンの豪華さが尋常ではない所ですね。
このアルバムはカーリー・サイモンのアルバムとしては一番売れたのだと思いますが、ゲストがすごいですよ。
ミック・ジャガーにローウェル・ジョージ、ポール&リンダ・マカートニー、ジェームズ・テイラー、ビル・ペイン、ニッキー・ホプキンス、クラウス・ヴアマン、ボビー・キーズ、ジム・ケルトナーなどなど、英米を代表するミュージシャンがてんこ盛りで、アレンジにポール・バックマスターまで参加ですよ。
制作費が人件費だけですごい(笑)。
まあ、ものすごく売れたので、十二分に採算取れてますけども、この手の作品はすべて本作みたいに売れたわけではないです。
ボビー・チャールズやジョン・セバスチャン、マリア・マルドアなんかはどう考えても売れていたとは思えないんですが、まあ、それ以外のロックアルバムがバカみたいに売れていたからレコード会社としてはよかったのでしょう。
ジョニ・ミッチェルの一連のジャコと作ったアルバムなんて、どれもチャートを賑わしてないのに続々と作られてましたから、業界がいかに潤っていていたかという事なんでしょう。
と、なんだかイヤらしい銭勘定で始まってますけども、そんな事は本作の素晴らしさとは何の関係もないですよ(笑)。
カーリー・サイモンの嫌味のない素直な歌い方はスッとココロに染み渡ります。
もう、それで本作のクオリティは補償されているんですが、前述の信じがたいメンツのサポートが彼女の個性と見事に合致し、見事なアルバムに仕上がっております。
捨て曲は全くないですが、個人的には、「You’re So Vain」ですね。
ミック・ジャガーがハッキリとそれとわかるバックコーラスで参加してます。
売り上げと内容がちゃんと一致する、幸せな時代の音楽を是非ともお楽しみください。