mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

コレが大ヒットした事が今日にそのまま繋がっている気がする。

RADIOHEAD『OK COMPUTER』

 

1990年代のロックを代表する一枚にして、レディオヘッドの名を世界的に広めた作品。

全体を覆う、どうしようもない陰鬱さと閉塞感がすさまじい。

それは現在聴いてもヒシヒシと感じるのだから、相当なものです。

どの曲もものすごいスタジオワークの所産で、やはり、デジタル機材を使うとこんな複雑な音響があっという間に処理できてしまうんだあ。と。

かつては、こういう作業はテープをつなぎ合わせて編集したんだと思いますが、そういう作業が、もうパソコン上でできてしまうという。

多分、膨大に録音して、エンジニアやプロデューサーとああでもないこうでもないとやりながら編集して作った音なのでしょう。

彼らを代表する名曲「パラノイド・アンドロイド」で、あえてギターの音を異様なほど前に出して、コレを猛烈に歪めたり、引っ込めたりというのは、テープでもできますが、ここまで滑らかにできてしまうすごさですよね(当然、逆もできるわけです)。

そういうテクノロジーの発達がすごいんではなくて、バンドのメンバーの表現と見事に結びついているのが素晴らしいんですね。

決して万人向けとは思えない、シリアスで悲痛な音楽だと思いますが、コレが当時大変ウケて、しかも、RADIOHEADは未だに現役でトップクラスであるというのは、やはり、彼らが単に暗い曲を作っているバンドなのではなくて、社会を覆っている閉塞感や怒りを自分たちの表現に結び付けているからなのでしょう。

コレ以降もレディオヘッドの音楽性は変化してくのですが、ココで展開する胸を締め付けるような悲痛さは、終始変わっていない気がします。

この陰鬱が何かそのまんま解消されずに、昨今世界を覆っている無差別テロ(もはや、テロとすら呼べない、単なる無差別殺人も見られます)やISの出現、アメリカ合衆国初の「大王」の誕生という形で噴出してるような気がするのは、私だけでしょうか。

 

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