mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。

Date Course Pentagon Royal Garden

『Report from

                   Iron Mountain』

 

『アイアンマウンテン報告』という、伝説の奇書をタイトルとする、デートコース・ペンタゴン・ロイヤルガーデン(現dCprG)の第1作。

「近々戦争が来る!」という菊地成孔の予感と菊地雅章(名字は同じですが、親戚関係ではありません)『ススト』に収録される、7拍子と4拍子のクロスリズムが基調となる、前代未聞の難曲「circle / line」を完コピしたいという欲求によって結成されたという、大編成ポリリズム・ファンクバンド。

この世界でも稀有なバンドは、菊地のバンドの中でも最長のバンドとなりました。

菊地の予感は、9.11のテロとイラク戦争、アフガン戦争という形でホントになってしまい、現在、世界各地でテロ行為を行う、自称「イスラム国」や、それに勝手に感化された過激主義の温床というなったわけですが、ココでは政治の話しではなく、音楽の話しのみを。

大編成のファンクバンドがポリリズムで観客をいかに踊らせるのか。という発想自体が今もってとてつもなく、一曲目「Catch 22」は有名な戦争文学のタイトルから取られた、DCPRGを代表する曲ですが、全員がバラバラな周期で反復し続ける。しかしそれは聴き手には、まとまった音楽に聴こえる筈だ。という、恐らくはスティーヴ・コウルマンのM-Baseの方法論から着想を得た曲であり、ライヴではドンドンアレンジが変わっていき、全く別の曲に変貌していった曲としても有名です。

現在のdCprGでは、この曲と同じ役割となるのが、「Ronald Reagan」に変わりました。

また、前述した「circle / line」は、今でもライヴの定番曲で毎回必ず演奏されており、『Second Report from Iron Mountain America』でも、ラップを加えて大胆なモデルチェンジをして再録されています。

今や国民的な作曲家となった大友良英が参加していたのですが、この頃、大友、菊地は互いのバンドに在籍しあっていました(菊地はONJQのメンバーでした)。

とにかく、メンバー全員が日本を代表するような腕利きばかりが集まっている、とんでもないバンドで、現在はかなり若返りを図っていますが、ここでの主要なメンバーは残っています。

今の耳だと結構大人しく聴こえますけども、それは単にこのバンドの驚異的なライヴを体験してしまったから。というのも大きいのかもしれません。

現在も本曲のラストを飾る名曲「Mirror Ball」や、ジミヘンでおなじみの「Hey Joe」のアレンジは素晴らしく、いずれも未だに演奏回数は多いです。

要するに、今でもライヴで演奏される定番曲が1番多いのが本作であり、このバンドの原点なのです。

 

 

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