mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

ジャコとの一連の共作は、ホントに見事としか言いようがありません。

Joni MitchellDon Juan’s  Reckless Daughter 』

 

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若き日のジョーニ。


ジョー二・ミチュルの長いキャリアの中で最も素晴らしかったのは、やはり、ジャコ・パストーリアスを中心とした、ウェザーリポートのメンバーやなどのジャズやフュージョンのミュージシャンを積極的に登用していた1970年代後半だったと思います。


特に、ジャコは、その短い人生の中で、最も素晴らしい仕事を成し遂げたのではないでしょうか。


個人的には、ウェザーリポートでの仕事よりも更に高く評価すべきであると思いますし、ジョー二の最高の音楽に於けるパートナーは、ジャコだったと思ってます(ウェザーはあくまでもジョー・ザヴィヌルのバンドなのであって、彼の構想の中でジャコは演奏しているように思います)。


ジャコを褒める事はそのままジョー二の音楽を褒める事になるし、ジョー二を褒める事はジャコの素晴らしさを讃える事になり、どこまでがジョー二で、どこからがジャコの魅力なのかわからないほどに両者の音楽が密接に結びついていますね。

 

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在りし日のジャコ。彼の加入でウェザーリポートのライヴの客層が明らかに変わったそうです。


この頃から、ジョー二のアルバムは一切ヒットチャートの上位に食い込む事はなくなり、シングルヒットは全くなくなります。


しかし、それはアルバムを聴くとよくわかりまして、シングルカットする事などできないほど、アルバムが有機的にできていて、しかもアルバムはLP二枚組にわたる約50分にわたる大作が多くなりまして、それは、本作も同様です。


B面など、一曲16分もある大作で、オーケストラをバックにジョー二がピアノの弾き語りをするという(途中からウェイン・ショーターとジャコが演奏に入ってきます)壮大なもので、とてもラジオにかける事など不可能なのですね。


それでも、レコード会社がジョー二との契約をやめる事はなかったのは、彼女の実力がそれだけ並外れていたからですが、彼女のやりたい事を許していたレコード会社も大変寛容だったですよね。


という事で、本作はアルバムを通して聴くことで彼女の言いたい事がわかってくるという作り方になっており、ジックリ聴く事が求められる作品です。


ネット配信で音楽を聴く時代には明らかに逆行したあり方ですが、別に彼女の音楽は難解なものではなく、アメリカの中西部に広がる巨大な平原を上空をプロペラ機で飛んでいるような、独特の飛翔感があり、それを見事に表現しているのが、あの「コーン!」と高く響くジャコのフレットレスベイスなのですね。


ロックでもなく、単なるフュージョンをバックに歌っているフォークシンガーでもなく、全く独自の立ち位置を持っていた、ミュージシャンであり、それは今聴いてもとても新鮮である事に驚きます。


個人的にはC面の、マノロ・バドレーナやアレハンドロ・アクーニャ、チャカ・カーンが参加しているキューバやブラジルのリズム(ジャコもパーカッションで参加してます)が入った演奏がとても気に入っています。


一時期、危篤状態に陥り、生命の危険にさらされたようですが、一命を取り留め、静かな療養生活を送っているようです。

 

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