70年代におけるフィル・スペクター・リヴァイヴァルの最高作
Bruce Springsteen『Born to Run』
ブルース・スプリングスティーンをアメリカのみならず、世界的な大スターに押し上げた、70年代屈指の名盤。
彼のフォロワーは日本のみならず、それこそ世界中にいるのだと思いますが、やはりオリジナルのもつ強度は唯一無二ですね。
収録されている楽曲は、今でも彼のライヴで演奏されるばかりであり、ブルースのキャリアはコレ一枚で決まってしまったようなモンですね。
ブルースというと、ギターをかき鳴らして、シャウトしまくるロックンローラーのイメージが強いですが、「Backstreets」という、アルバムではかなりシンプルな編成の曲でのヴォーカルとギター、ピアノ、ドラムにタップリとつけられたエコーは、明らかにフィル・スペクターを意識してると思います。
ブルースの代名詞と言ってよいタイトル曲も、よーく聴くと、大瀧詠一『LONG VACATION』とサウンドが似てます。
どっちもものすごい「ウォール・オブ・サウンド」ですよね(ギターとかそっくりだと思いますが)。
あのデカイ声のヴォーカルとクラレンス・クレモンスのド熱いテナーのブロウ(その後、どれほどこのサウンドがパクられたことだろう)が盛大にフィーチャーしてるんで(笑)、気がつきにくいですけどね。
実際、ブルースは、ロイ・オービスンのエコーついたヴォーカルが大好きなようです。
個人的に残念なのは、前作で最高にグルーヴィなキーボードを弾いていたデイヴィッド・サンシャスが早くも離脱してしまった事でしょうか。
それにしても、今聴いてもこのアルバムは圧倒的ですね。