重厚長大ロックの大作!
Chicago Transit Authority『Chicago Transit Authority』
現シカゴのデビュー作。
シカゴ交通局から「改名してください」と言われて、交通局が取れました。
当時のシカゴはとても真面目で政治的な内容のバンドでした。
デビュー作のなのに、なんと、LP2枚組でデビューしていて、とにかく、ものすごい大作志向でした。
収録時間が約80分。CD一枚ギリギリです。
ホーンセクションまで入った大編成で、全員腕っこきが集まっているので、見せ場は、必然的に楽器演奏になり、曲が長くなってしまいます。
当時は、ブラッド、スウェット&ティアーズなんかと一括りに「ブラスロック」とか言われてました。
プロデューサーがえらいですよね。
彼らを活かすには、曲を長くしないとならず、そうすると、LP一枚では収まりきれないと。
「poem58」なんて、冒頭5分がインストです。ほとんどプログレですね。
特に、ギターのテリー・キャスの演奏はズバ抜けており、彼の長いソロはものすごいです。
もちろん、曲もよくて、実際、遅れてですが、シングルヒットも出てます。
現在でこそ、ヴォーカルがウリのバンドですが、この頃はリードヴォーカルが固定しておらず、ピーター・テセラですら、one of them。
この頃の彼の猛然たるベイスプレイはバンドの推進力ですよね。
後のバカ売れしまくっているシカゴしか知らない方がコレ聴いたら、同じバンドとは思えないです。
なぜなら、この頃のシカゴは、ほとんど、初期のキング・クリムゾンですよ。
ヴォーカルよりも圧倒的な演奏力で勝負していて、ベイスがヴォーカルをとり、ギターが暴れまくる。
字面だけ見ると、まったくクリムゾンと同じというね(笑)。
音はアメリカロックの王道です。
「Free Form Guitar」という、テニー・キャスのフィードバック・ノイズだらけのギターソロだけ。というなかなか無謀な曲も入っていて(私は好きですが)、やっぱりクリムゾンなのですが(笑)、「South California Purples」では、思いっきりビートルズ「I am The Walrus」の歌詞の一部を引用したりと、なかなか粋な事もやってます。
このバンド、ある時点から、ポップ路線に「転向」していくのですが、サウンドの要であったテニー・キャスの事故死とこの路線変更がほぼ同時に起こっていた事は、見逃せないでしょう。
かなりの大作なので、日頃、全部聴き通すような聴き方ができる作品とは言い難いですが、それだけの歯ごたえは十二分にある作品であると思います。
こちらがホンモノのシカゴ交通局のロゴ。