思いの外よかったです。
John Lennon
『Rock’N’Roll』
毀誉褒貶の多い人でしたが、風貌もよく変わりました。
ジョン・レノンの事実上の引退作。
よく考えてみたら、ビートルズ解散してからも、結局、年1枚のペースでアルバムを出すという多忙な生活は全く変わっておらず、しかも、彼をカリスマ視するマスコミは、オノ・ヨーコとともに2人を執拗に追い回し(また、物議を醸し出す言動も多かったわけですし)、なんと、FBIにまで危険人物としてマークさてしまうというという日常が続いていたんですね。
しかも、オノ・ヨーコとの夫婦生活もうまくいかなくなり(まあ、どっちも個性的ですので。。)、生活はかなり荒んでいたようです。
そんな中、ロックンローラーとしての自分自身をもう一度見つめ直すために作られたであろう本作は、ビートルズ初期のようながむしゃらなパワーとは違う、もう35歳という、そこそこオジンになったレノンの自然体の良さが素直に出た、とても好感の持てるアルバムとなりました。
フィル・スペクターとの共同作業はあんまりうまくいかなかったみたいですけど(彼も、プロデューサーとしての仕事がかなり減っていて、生活が荒んでました)、出来上がったものは、そういうものが微塵も感じられないです。
ミュージシャンの日常をいくら知ったところで、それが音楽とは必ずしも結びつくわけではないんですね。
ジーン・ヴィンセント、ベン・E・キング、リトル・リチャード、チャック・ベリー、バディ・ホリーの代表曲をひねりなど一切なく歌う。という、ただそれだけで胸を打つというのがなんとも感動的で、改めてジョン・レノンという人を見直しました。
リー・ドーシー「Ya Ya」が嬉しいですね。
こういうアルバムを、大瀧詠一が生前に作って欲しかったなあ。とつくづく思います。
この作品をもって、レノンは、「普通のお父さん」に戻り、育児生活に専念する事になりますね。