mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

今聴いても驚くべきアルバム。

Donny Hathaway

    『Extension of A Man』


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オープニングからしてオーケストラ。というかなり前代未聞のアルバムですが、コレがドニー・ハサウェイの最後に発表された作品となってしまいました。

ドニーの余りにも痛ましい死もあってか、アメリカ本国ではかなり間、アルバムがCDになってなかったようで、かなり知る人ぞ知る存在になっていたようです。

それはともかく、今聴いても驚くほど新鮮ですね。

70年代のブラックミュージックは、一言で言ってしまうと、「シンガー&ソングライターの時代」だったんだと思いますけども(この時代の質と量がすごすぎて、現在のミュージシャンはなかなか苦労しているように見えますね)、ドニーはその中でも間違いなくトップクラスと言ってよく、カーティス・メイフィールドの舎弟時代から、そのソングライティングの才能はずば抜けていました。

参加しているミュージシャンも桁外れに豪華!

フィル・アプチャーチュ、コーネル・デュプリー、デイヴィッド・スピノザウィリー・ウィークス、ゴードン・エドワーズ、ラルフ・マクドナルドなどなど、ため息が出るほど素晴らしい。

「Someday We'll All Be Free」は永遠の名曲と言えますが(私は、スパイク・リーの『マルカムX』で初めて聴きました。コレはアリーサ・フランクリンが歌ってますけど)、個人的に大好きなのは、「Love, Love, Love」。

コレを聴いてると、ドニーの歌唱は、マーヴィン・ゲイをお手本にしているのがよくわかります。

しかし、なんという伸びやかな歌唱!!

エレピをも抜群に上手いですよね。

こういうのをやりながら、「The Slum」みたいなファンキーなインストもやってしまう彼の才能はちょっと尋常ではないですね。

とにかくやりたいことがありすぎて一枚のアルバムとしてはもう溢れちゃってるところもありますが、それくらいすごいですね。

これまでの黒人音楽を彼なりに消化しつつ、楽理的にも非常によくできた人でしたね。

黒人ミュージシャンの悲劇的人生というのは、20世紀のアメリカにそれこそイヤという程にあるわけなんですけども、ドニーの余りにも若い死は、ホントに残念でなりません。

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