mclean-chanceの「鯔背でカフェオーレ」

ジャズ以外の音楽について語るブログです。生暖かく見守ってください。

大傑作!

The Special AKA『In The Studio』


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スペシャルズが方向性の違いから、呆気なく空中分解した後に、ジェリー・ダマーズを中心に結成されたスペシャルAKAによって出された、とんでもないアルバム。

スペシャルズをスカだけでなく、様々な曲をやっていこうと提案していたのは、どうも、ダマーズだったようで、他のメンバーがコレに猛反対した結果がスペシャルズの空中分解だったのでした。

この兆しは、スペシャルズの二枚目のアルバム『モア・スペシャルズ』にすでに出ていたのですが、スカをやりたかった他の連中がダマーズに怒ってしまったのでしょう。

スペシャルズは、時折、再結成しているようですが、ジェリー・ダマーズには声すらかかっていないようで、未だに関係が修復していないようです。

しかし、むしろ、ダマーズはバンドと決別して良かったのかもしれない。と思ってしまうほど、本作では才能が爆発してますね。

スペシャルズからは、トロンボーンのリコウ・ロドリゲスとドラムスのジョン・ブラッドベリーが参加してますね。

とにかく、ダマーズのソングライターとしての実力が遺憾なく発揮された楽曲ばかりで、どれもこれも一筋縄ではいかず、冒頭はジャズっぽく始まり、アラビアのロレンス風のメロディのエキゾな曲にスカの気持ちいいホーンが入った「The Lonely Crowd」、「7拍子の「What I Like Most About You is Your Girlfriend」、あたかもシングル盤の裏表に連続する曲のようになっているこれまた5拍子の曲「War Crime」などなど、とにかく素晴らしいとしか言いようのない曲ばかりですが、その中でも特筆すべきは、アパルトヘイト反対運動のために長い間投獄されていた、ネルソン・マンデラの解放を訴えた「Nelson Mandela」でしょうね。

多分、この曲の大ヒットがなければ、ネルソン・マンデラの名前は先進国にはほとんど知られる事はなかったのではないでしょうか。

その意味でもジェリー・ダマーズの功績は大きいわけです。

当然のことですが、コレ、なんといっても曲が素晴らしいです。

ちゃんと「Racist Friend」という、モロにスペシャルズなスカ曲があるのも、なんとも当て付けがましくていいではありませんか。

この大傑作の後のダマーズの活躍をトント聞かなくなってしまったのは、ホントに残念ですね。

ちなみに、ジェリー・ダマーズは、熱狂的なサン・ラのコレクターのようです。

彼の膨大なコレクションを実際に見せてもらった方から直接話を聞いた事があります(笑)。

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